昔話の「さるかに合戦」を福井を舞台にアレンジし、福井のカニが主役として活躍する
江戸時代の手習い本が、福井市の福井県文書館で見つかった。
寺子屋の先生が、子どもに文字を教える手本として書いたとみられる。
「安居山」に住むカニが柿をめぐってサルとけんかし、子どものカニたちが仲間を集めて
敵討ちする物語。同文書館で26日まで展示している。
同書は昨年8月、福井市二日市町の民家が保管、同館に寄贈した636点の古文書類の
中から見つかった。本文部分は42ページで、1ページに2行ずつ崩し文字で手書きしている。
登場するのは、現在の福井市内とみられる「安居山」のカニ。
現在の茨城県猿島郡を指すとみられる「猿ケ嶋」のサルと、渋柿をめぐってけんかし死ん
でしまう。子ガニたちがサルを討つために、茨城県まで大移動を繰り広げる。
子ガニたちは道中、ズワイガニやサワガニなどの仲間を増やしていき、5千匹を超える
大群となる。サルの元へたどり着くと、敵討ちを果たし福井に帰って行く。
仲間を増やすのには、腰に下げたきび団子を使うなど「桃太郎」の要素も盛り込まれている。
物語には、ほかに「越知山」など現存する福井の地名も登場する。
同文書館によると、郷土の著名人が登場人物に加わっている物語は全国で見つかって
いるが、同書のようにアレンジの要素が強い作品は珍しいという。
表紙などには、子どもが文字の練習に書いたとみられる跡も残っている。
同館職員の柳沢芙美子さんは
「内容もとても面白い。この作品から古文書に興味を持ってもらえれば」
と話していた。
期間中の日曜日の午後1時半〜3時半、同館で古文書入門講座を開き、手習い本の
「さるかに合戦」を読む予定。要予約で問い合わせは同館=電話****(**)****。
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/event_calture/97341.html